
令和6(2024)年9月30日、町営の「釧路湿原かや沼観光施設」がグランドオープンした。愛称は「ぽん・ぽんゆ」でアイヌ語のぽんゆは「小さな湯」を表しているが、「北見温泉(ポンユ)三光荘」も温根湯(オンネ=大きな湯)に対してポンユ(小さな湯)というアイヌ語を語源としている。ぽんぽんと重複しているので「とても小さい湯」といった意味だろう。「ぽん・ぽんゆ」は、町内の生徒を対象に3つの 名称候補(ぽんぽんゆ、ぽんこたん、ぽんぬふり)によるアンケートを実施し、最多票を獲得した結果を基に選定された。令和4(2022)年には、新泉源の温泉ボーリングを完工した。
閉鎖した「釧路湿原パーク・憩いの家かや沼」は、昭和53(1978)年10月に温泉保養施設としてを開業した。平成5(1993)年12月には新館が完成。指定管理者の標茶町観光開発公社が運営していたが、経営破綻で平成31(2019)年3月22日から休業状態が続いていた。


「釧路湿原パーク・憩の家かや沼」を大規模改修した。建築家の隈研吾さんが基本設計を手掛け、日本デザインセンター社長の原研哉さんがデザイン設計を担当した。総事業費は16億2000万円。指定管理者の共立ソリューションズが運営する。
◇基本データ


ロビーには丸木舟を設置している。券売機で入浴券を購入。
■標茶町 字コッタロ原野茅沼、入浴料:大人1,000円、営業時間:11時~20時(最終受付19時)、定休日:火曜
■公式HP

館内の配置図
◇宿泊
じゃらんプラン名:【スタンダードプラン】2食付き!夕食コース料理・朝食付き【東館・禁煙】洋室で予約。23,300円(税込・サービス料込)-4,000円(じゃらんポイント)。チェックイン可能時間15時~18時、チェックアウト10時。

案内されたのは東館2階。ウォーターバーの横を通り過ぎてエレベーターに向かう。

エレベーター前

かつての間取りの名残である木の柱が残っている。

2階の廊下

案内されたのは202号室

反対方向から

カードキーの抜き差しにより、照明・電気製品等の電源を自動的にON/OFF。

ツインベッド。ナイトライト有り。

フリーWi-Fi利用可。

扉を開けると、冷蔵庫とドライヤー。

右の引き出しをプッシュすると、歯ブラシ、カミソリなど。

左の引き出しをプッシュすると、紅茶と珈琲。

電気ポット

洗面台。水栓にセンサー部分があり、そこに手をかざすと自動で水が出る。

クローゼットを開けると、金庫、館内着、スリッパ。ハンガーは同じ場所にある。

トイレ。ドアを開閉すると自動で蓋が開閉する。自動洗浄。

トイレの向こうにバスがある。
◇食事

食事はレストラン・コッタロでとる。夕食は17時~20時、朝食は7時~。チェックイン時に希望時間指定有り。
・夕食

シェード照明をオートで撮ったので黄色くなる。席はスタッフが案内。

コース料理のお品書き

北海道産シードル

釧路産つぶ貝と上尾幌産椎茸のブルギニョン

北海道産のホタテと蟹のタルタル 近海魚介のジュエルを添えて

北海道産カボチャのポタージュ カプチーノ仕立て

江別産小麦で作る自家製フォカッチャ

釧路沖鮮魚のポワレ 厚岸アサリとバターソース

柚子のシャーベット

標茶町星空の黒牛フィレ肉の炭火焼き きのこ香るマデラソース

完熟リンゴの自家製アップルパイとポロニ養鶏場の卵たっぷりバニラデザート

エスプレッソ
・夜食

夜鳴きそば。夕食が終わった頃に希望時間を伝える。本日のスタート時間は20時30分~。
・朝食

客席はスタッフが案内する。セミバイキング。


ケーキ・パン・フルーツ・ヨーグルト、蒸し物(ウィンナー、卵焼き)


サラダ、ご飯、味噌汁

ドリンク

メインの和食膳。引き出し重箱、焼き魚、メンチカツ、漬物

上段:海老・かまぼこ

中段:刺身

下段:佃煮、焼魚、煮豆、焼売

セミバイキング、盛り付けの一例

パン、フルーツ、ケーキ、ジュース、牛乳、ヨーグルト、コーヒー
・ウォーターバーと休憩所

浴場入り口前のウオーターバー

冷水のほか、特産品の「しべちゃ牛乳」を使ったフローズンドリンクを無料で提供している。
■大浴場




入口に暗証番号入力の小さな貴重品ロッカーがある。脱衣所は「憩いの家かや沼」時代と比べるとかなり狭い。籠置き場と長椅子の間は二畳分のスペースで混雑するとキツイ。宿泊客はチェックイン~24時、5時~8時まで利用可。20時を過ぎると宿泊客のみとなり、ほとんど貸切状態になる。
◇温泉分析書(脱衣所掲示)

令和4年4月6日に作成した温泉分析書(北海道薬剤師会公衆衛生検査センター)。泉温:48.1℃(気温:10℃)、湧出量:630ℓ/分(動力揚湯)、pH値:7.6、溶存物質:11.82g/kg、成分総計:11.84g/kg、泉質:ナトリウム-塩化物泉(高張性弱アルカリ性高温泉)(旧泉質名:食塩泉)
2022年に新たに掘削した泉源を温泉分析している。
◇温泉成分に影響を与える項目
・塩素による殺菌消毒を実施。
◇内風呂(男湯)



6:10am頃撮
「憩いの家かや沼」の浴場をベースに改装し、「憩いの家かや沼」の浴場とは男女逆で旧女湯が男湯になっている。以前はドアを開けてすぐに段差があったと思うがスロープに改装している。滑り止めなのか床と浴槽は玉砂利の洗い出し仕上げになっていて足つぼの刺激になっている。
岩風呂、中浴槽、小浴槽、サウナ、水風呂、シャワー付カラン12台、立シャワー1台配置。シャンプー、コンディショナー、ボディソープあり。
・中浴槽(旧源泉の湯)


6:10am頃撮
無色透明の湯。源泉槽から階段状に約30ℓ/分流れ落ちている。知覚的には、塩味、ほとんど無臭。溢れた湯は湯縁からオーバーフローしている。やや熱めだが滑らかなつるすべ感あり。新泉源になってからモール臭が判然としなくなった。



2024/11/11、21時~21時30分、浴槽内でORP計測。源泉100%掛け流しで、(入湯時)塩素系薬剤未使用。
源泉槽:温度46.7℃、pH値7.55、ORP値は-4mvに収束した。
浴槽:温度42.9℃、pH値7.74、ORP値は36mvに収束した。
・小浴槽(旧癒しの湯)


6:10am頃撮
ほぼ無色透明の湯。注湯量は約20ℓ/分。知覚的には中浴槽に準ずる。浅湯になっていて半身浴のような利用と思われる。溢れた湯は湯縁からオーバーフローしている。「憩いの家かや沼」時代の小浴槽(旧男湯)は熱いという印象だったが、入浴時は丁度良い湯温である。



2024/11/11、21時~21時30分、浴槽内でORP計測(湯口はミニボトルで採水)。源泉100%掛け流しで、(入湯時)塩素系薬剤未使用。
湯口:温度47.0℃、pH値7.55、ORP値は-17mvに収束した。
浴槽:温度42.1℃、pH値7.70、ORP値は35mvに収束した。
・岩風呂


7:30am頃撮
岩を配したほぼ無色透明の湯。「憩いの家かや沼」時代の岩風呂がそのまま残っている。湯口から約30ℓ/ほど滝状に流れている。知覚的には、ほとんど無臭、塩味。溢れた湯は排湯口から排湯している。丁度良い湯加減で滑らかな肌触りの浴感がある。



2024/11/11、21時~21時30分、浴槽内でORP計測(湯口はミニボトルで採水)。源泉100%掛け流しで、(入湯時)塩素系薬剤未使用。
湯口:温度46.9℃、pH値7.68、ORP値は-26mvに収束した。
浴槽:温度41.7℃、pH値7.73、ORP値は48mvに収束した。
・サウナ

6:10am頃撮
新設したサウナは、室温を93度に設定。石に水をかけて水蒸気を発生させるセルフロウリュを楽しめる。
◇露天風呂(男湯)

7:30am頃撮
葉を落とす時期は木々の間からシラルトロ湖が垣間見える。ベンチを置いている。


6:10am頃撮
無色透明の湯。やちぼうずを模した背もたれがある。注湯量は約30ℓ/分。溢れた湯は排湯口から排湯している。寒い時期の露天風呂としては適温で、滑らかな肌触の浴感がある。



2024/11/11、21時~21時30分、浴槽内でORP計測(湯口はミニボトルで採水)。源泉100%掛け流しで、(入湯時)塩素系薬剤未使用。
湯口:温度47.0℃、pH値7.57、ORP値は-29mvに収束した。
浴槽:温度42.8℃、pH値7.58、ORP値は48mvに収束した。
◇遊離残留塩素測定

2024/11/11、21時50分頃、岩風呂で試料をミニボトルで採取し、遊離残留塩素測定器で遊離残留塩素濃度を測定。掲示では塩素による殺菌消毒を実施とあるが、常時注入ではなくて随時注入の可能性がある。
測定値は0.00ppmとなり、遊離残留塩素の未検出を確認した。
◇電位-pH図

算式を利用して標準水素電極基準に変換してから電位-pH図を作成。Ehは図表の通り。
いずれも還元系にあり、温泉の鮮度は良好である。
・岩風呂AI(△)(エージングの進行度mv)
ORPeq(平衡値mv)=(0.84-0.047×7.7)×1000=478.1
AI(△)=478.1-242≒236
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