
国道337号で泉郷神社付近に差し掛かると、「腐植質含有量道内一 松原温泉」の立て看板が目に入る。案内看板から砂利道を少し進んでいくと「松原温泉旅館」に行き着く。
松原温泉は、かつて嶮淵温泉と称されていた。松原清左衛門が嶮淵川の近くで20度近い温水を発見し、明治36(1903)年から小さな旅館を営んでいたようだ。長男の清之助が後を継ぎ、明治40(1907)年7月、鶴の湯鉱泉松原旅館として開業。現在の建物は昭和56(1981)年に改築している。宿泊は素泊まりのみ受け付けている。
・参考資料
「新千歳市史通史編上巻」
◇基本データ
■千歳市泉郷708、入浴料:大人600円、10時~21時30分、木曜定休(祝・祭日は営業) 

◇温泉分析書![img_16[1]](https://livedoor.blogimg.jp/t2412/imgs/4/9/490145cf-s.jpg)
![img_14[1]](https://livedoor.blogimg.jp/t2412/imgs/1/b/1b478be4-s.jpg)
2008年9月撮
一部のみ表示。右が3号井温泉分析書(重曹泉)、左が1号井温泉分析書(食塩泉)。
先に掘削した深度33mが3号井、後に掘削した深度110mが1号井になっている。

2019/10/15撮
廊下に温泉分析書別表(平成22年)があり、2号井(食塩泉)、3号井(含重曹-硫黄泉)となっている。温泉分析書の掲示はない。御主人に願い出て見せてもらうが、写真撮影はなぜか拒否された。1号井は現在使用していないというが、1号井を2号井として届け出た可能性がある。保健所もそのまま受理したのだろう。
北海道千歳市「松原温泉旅館」~腐食質含有量 ... - さと太郎温泉.comに温泉分析書画像あり。
◎2号井
平成22年3月1日に作成した温泉分析書(岸本医科学研究所)。泉温:26.0℃(気温:-8℃)、湧出量:88ℓ/分(自噴)、pH値:8.0、溶存物質:8.043g/kg、成分総計:8.053g/kg、腐植質6.1mg/kg、泉質:ナトリウム-塩化物泉(弱アルカリ性等張性低温泉)
◎3号井
平成22年3月1日に作成した温泉分析書(岸本医科学研究所)。泉温:22.4℃(気温:-8℃)、湧出量:14ℓ/分(自噴)、pH値:8.6、溶存物質:1.164g/kg、成分総計:1.167g/kg、腐植質64.9mg/kg、泉質:含硫黄-ナトリウム炭酸水素塩冷鉱泉(アルカリ性等張性冷鉱泉)
「北海道市町村の地熱・温泉ボーリングデータ集~1990」では、重曹泉は1号井(1973年)、食塩泉が2号井(1974年)で、掘削年順に1号井、2号井となっている。2号井の深度110mは備考欄に1974年7月増堀後とある。
その後、「北海道温泉地熱利用の現状-1998-」では、重曹泉は1号井、食塩泉が3号井に変わっているが、コード番号は同じなので、後で増堀した2号井を3号井に改めたものだろう。
◇温泉成分に影響を与える項目
特に掲示はないが、加温・循環している。
■浴場

脱衣所には鍵なしのロッカーがある。
◇内風呂(男湯)
2008年9月撮
玉石を敷き詰めた浴室に、手前から小浴槽(食塩泉)、大浴槽(重曹泉)を配置。シャワー付カラン5台、石鹸あり。
・大浴槽(重曹泉)

2008年9月撮
透明度は約5cm位でイカ墨を流したような黒湯。レトロな湯船は女湯との境に間仕切りがあるが、下は湯繋がりになっている。かつては混浴だったようだ。岩湯口から加熱循環湯が注いでいる。知覚的には、微弱鉱物臭・重曹味。側壁に循環吸込み口があり湯が吸込まれている。ぬるぬるした浴感は、まるで手に水掻きが付いたような錯覚すら覚える。
2008年9月撮
洗面器の底が見えない。道立衛生研究所は平成9年10月から腐植質の分析を行っており、道内で33の腐植質を含む温泉を確認している。


2019/10/15、12時50分~13時、浴槽内でORP計測(湯口はミニボトルで採水)。加温循環ろ過方式で、塩素系薬剤未使用。
湯口:温度42.3℃、pH9.4、ORP値は141mvに収束した。
浴槽:温度42.2℃、pH9.3、ORP値は149mvに収束した。
・小浴槽(食塩泉)![img_12[1]](https://livedoor.blogimg.jp/t2412/imgs/4/0/40fdec6d-s.jpg)
2008年9月撮
コーヒー色の不透明の湯。蛇口があり開放すると源泉が出てくる。女湯と繋がっている湯孔がある。男湯には湯口も吸込口もないので、女湯側に湯口と吸込み口があると思われる。

2019/10/15、12時50分~13時、浴槽内でORP計測。加温循環ろ過方式で、塩素系薬剤未使用。
浴槽:温度40.3℃、pH8.5、ORP値は58mvに収束した。
・飲泉
2008年9月撮
小浴槽の傍らに飲泉口。無断持ち出し禁止となっている。飲用重曹泉は微弱鉱物臭・重曹味。飲用弱塩泉はほとんど無臭・塩味。

2019/10/15、12時50分~13時、浴槽内でORP計測。加温循環方式で、塩素系薬剤未使用。
飲用重曹泉:温度24.5℃、pH9.1、ORP値は-66mvに収束した。
飲用弱塩泉:温度25.6℃、pH8.6、ORP値は-98mvに収束した。
◇電位-pH図(2019/10/15)
算式を利用して標準水素電極基準に変換してから電位-pH図を作成。Ehは図表の通り。
循環しているが還元系にあり、温泉の鮮度は普通に良好である。塩素系薬剤を使用していれば、湯口側のORP値は跳ね上がるので、ORP計測では塩素系薬剤は未使用と思われる。
・大浴槽AI(△)(エージングの進行度mv)
ORPeq(平衡値mv)=(0.84-0.047×9.3)×1000=402.9
AI(△)=402.9-343≒60
◇遊離残留塩素測定(2022/7/29)
2022/7/29、11時30分頃、大浴槽で試料をミニボトルで採取し、遊離残留塩素測定器で遊離残留塩素濃度を測定。循環湯は一人入浴したぐらいでは溢れてはいないので、新湯を補給することは少ないようだ。衛生面を考えると、循環湯は殺菌剤を注入したほうが安心だろう。
測定値は0.00ppmとなり、遊離残留塩素の未検出を確認した。
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